工事現場の労災を防ぐ。安全管理に求められる3つの要素とは

 工事現場では、土工機・重機械の取扱いをはじめ、作業において万全な安全管理を要します。すべての現場で日々の安全管理が徹底されていますが、それでも建設業全体で見ると、事故件数はゼロではないという実状もあります。  工事現場では、たった一つの間違いが事故につながりかねません。事故の発生リスクを低減するためにも、安全管理体制は何度でも見直す必要があるといえるでしょう。  本記事では、あらためて、建設業における安全管理の重要性や、労災発生を防ぐための3つの要素をまとめました。安全管理の見直しにご活用ください。

目次

1.工事現場における安全管理の重要性

2.工事現場に求められる安全管理の3つの要素とは

2.1.安全設備面の対策

2.2.安全管理に関する教育・訓練

2.3.作業員のストレスマネジメント

3.元請事業者による建設現場安全管理指針を確認しよう

4.まとめ



工事現場における安全管理の重要性

 建設現場における労災の現状をふまえて、安全管理の重要性について考えてみましょう。  2019年には、建設業の労災によって269人もの人命が失われています。製造業や第三次産業全体と比較しても、最も死亡災害の発生が多い現状です。


出典:厚生労働省「平成31年/令和元年における労働災害発生状況について

 こうした労災が発生する要因には、「危険が及び得る箇所の状況を把握していなかった」といった作業員の安全確認不足、錯覚などによるヒューマンエラーが挙げられます。  また、全産業で精神障害による労災請求が増えているという点にも注視する必要があるでしょう。精神障害による労災請求件数は、2015年度の1,515件から2019年度には2,060件に増加していることから、精神的なストレスへの対応が必要となっていることがわかります。


出典:厚生労働省「精神障害に関する事案の労災補償状況

 企業は、事故に対する安全管理だけでなく心身の健康を含めた安全管理を徹底することが求められます。


工事現場に求められる安全管理の3つの要素とは

 工事現場で労災を防ぐためには、安全管理の徹底が求められます。安全管理のために重要なのは、次の3つの要素です。


1.安全設備面の対策

 工事現場で起こる労災は、墜落や転落災害が4割以上を占めています。これは、労働安全衛生法で定められている墜落防止措置が適切に実施されていないことが要因です。


出典:厚生労働省「令和2年度における建設業の安全衛生対策の推進について(要請)

 現場作業では、不注意や錯覚などが起こると想定したうえで、安全確保について考える必要があります。  人の注意力だけに頼ることがないように、法定事項の遵守を徹底して適切な安全設備を整えることが重要です。  安全設備としては、以下などが挙げられます。

  • 墜落制止用器具(ハーネス型、胴ベルト型)

  • 墜落防止ネット

  • リミット装置

  • 墜落防止手すり


2.安全管理に関する教育・訓練

 安全設備を設置しても、不注意や連絡不足などは起こり得るものです。ヒューマンエラーを防ぐためには、作業員一人ひとりの安全意識を高めるための教育・訓練を実施し、“事故を起こさないための安全管理活動”を充実させる必要があります。  安全管理に関する教育・訓練は以下が挙げられます。 

  • 安全な作業を行うための実技の教育・訓練(重機の取り扱い、安全設備の使用・保管・点検方法等)

  • 作業開始前の点検(作業場所の巡視・危険箇所の把握、設備等の点検マニュアルの設置等)

  • 事業者・作業員間の連絡や声掛け(作業前の安全衛生打合せ、朝礼でのヒヤリハット共有等)

  • 作業のマニュアル化(保護具着用・作業前の設備点検・作業中の危険確認・後片付けなどのルールを規定)


3.作業員のストレスマネジメント

 建設業の労災請求のなかには、過重労働や強いストレスなどが原因による精神障害も含まれています。精神障害による労災請求件数は、2019年では93件となっています。さらに精神障害の請求件数を全業種で見ても、建設業は13業種中6位という結果です。


出典:厚生労働省「精神障害に関する事案の労災補償状況

 建設業は長時間労働や休日日数の少なさが問題視されていることも背景としてあるでしょう。危険が及ぶ作業への精神的負担も考えられるため、作業員一人ひとりのストレスマネジメントも安全管理のうえで重要といえます。  建設業労働災害防止協会では、工事現場でのメンタルヘルスや職場環境改善対策として以下を推進しています。

  • 無記名ストレスチェック(作業員のストレスチェック・分析によって職場環境改善を図る)

  • 建災防方式健康KY(作業員の健康状態を把握・監督者の判断により事業者や相談機関への相談を行う)


元請事業者による建設現場安全管理指針を確認しよう

 厚生労働省では、土木工事を含め、建設現場の安全管理水準を向上して労災防止を図るために、『元方事業者による建設現場安全管理指針』を策定しています。これは、元方事業者が実施するべき具体的手法を示した指針です。  この指針では、元方事業者に対して安全衛生管理計画の作成をするとともに、重層請負の改善、労働災害防止対策の実施者や経費負担者を明確化することを求めています。  労働者の安全と健康を確保するためには、安全衛生関係法令の事項を徹底遵守したうえで、当指針に基づいた労働環境の改善、業務フローの見直しが必要といえるでしょう。


まとめ

 工事現場では他産業と比べて多くの労災事故が発生しています。労働者の人命を守り、安全に働ける職場を作るためには企業の徹底した安全管理が不可欠です。労働安全衛生法の遵守を徹底した安全設備を備えるとともに、ヒューマンエラーをなくすための作業員への教育や訓練を実施しましょう。  また、精神障害を未然に防ぐためには、作業員のストレスマネジメントも重要です。政府が推奨しているストレスチェックを実施し、メンタルケアの取り組みについても考える必要があるでしょう。  精神障害が起こる要因には、長時間労働による過労やストレスが考えられます。メンタルヘルス対策を実施するとともに、業務過多による体力・精神的負担を改善するための業務効率化も視野にいれるべきだといえます。  まずは日々の業務フローを見直し、業務負担を軽減させることも手段のひとつです。長時間労働解消にもつながるため、安全管理の一環として検討してみてはいかがでしょうか。

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